ProgVisions.net, webzine in Spain

このアルバムをレビューする前に、私はこれが君が最初に聴かなければならない種類のアルバムであることを言わなければならない!(信じなさい!) これは YES や CAP、CAMEL 等のみを聴いてきた者のアルバムではない。 これは非常に過激な音楽... そう、現在のエクストリーム・メタルである。 しかし、その内包する幾百もの影は MEKONG DELTA や初期 VOIVOD、KING CRIMSON、ELP、PINK FLOYD、NINE INCH NAILS、MAGMA、そして日本のノイズ・クリエーターである秋田昌美(MERZBOW)のような多種多様な音楽をも連想させるのである。

1曲目の "Kamikaze Blows"(5:41)は日本の神風特攻隊にインスパイアされている。 最初の数十秒は非常にソフトで、穏やかなシンセサイザーの響きは戦争の序曲をイメージさせる。 それはある種の叙情詩的なものを連想させるだろう。 しかしその直後、カウンターが1分35秒にさしかかると、筆舌にし難い猛攻が解き放たれる! マシーンビートは邪悪で好戦的な魅力で脳味噌を揺さぶる。(人間のドラマーでは腕を折ってしまうような強烈なリズムだ!) その後はいくつものリズムの変化に続き、速いパッセージでのシンセサイザーとギターのソロが始まる。
驚くような幕開けとなる "Mononoke"(6:24)は日本の伝統楽器を用い「第二の機関砲」とも言えよう。 決して聴き手に休息は与えない! 過激な凶暴性が一旦ブレイクすると、知的な中間部の展開が始まる... そして90秒の間奏はキーボードとギターの技術の粋を尽くした東洋的な味わいのソロが展開する。 2分30秒からはシンセサイザーが創り出す美しい音風景を伴うアコースティック・パートが始まる。 そして、ここでのギター・アルペジオはいくつかのクワイアも伴う。 その後、カウンターが4分23秒にさしかかると凄まじいバトルが再来する。
3曲目の "Wheel Of Fortune"(5:13)はモーツァルトのシンフォニー25番の第1楽章にインスパイアされた Yngwie Malmsteen 風のイントロに始まるが、全体的には ELP(そのシンセの音像)や ANGIZIA(快活なピアノのフレーズ)のようなバンドの影響が垣間見られる。 また、この曲は非常に叙事詩的ではあるが、それほど攻撃的ではない。
さぁ、アルバム中 最初の組曲の時間が来た! 11分にも及ぶ "Endless Labyrinth - suite opus 5" は4部構成となっており、イントロは欧州暗黒メタル勢のような儀式的な雰囲気で始まる。 しかし 3分後... 静寂... そしてその後、序々に音楽は川のように流れ始め、中間部のシンセサイザーでの繊細なパートへ突入する。 この中間部の終わりには、クラシック音楽やある面 MAGMA や ZAPPA の影響をも感じさせる素晴らしいプログレッシヴな展開が待っている。
アルバム終番は、"Lament 1999"(3:35) この曲は素晴らしい!... シンプルではあるが素晴らしい! メタルではなく、シンセサイザーとアコースティック・ギター、そしてちょっとしたベルを含むだけの曲ではあるが、映画のサウンドトラックのような非常に雰囲気のある曲だ。(ちなみに彼がプレイするアルペジオは Alex Lifeson をイメージさせる) このミュージシャンは「確実に」天才か狂人のどちらかだろう。
そしてアルバムは更に素晴らしい "War Phantasma - suite opus 4" で幕を閉じる。 この大曲は6部構成となっており、"Requiem for the post war"、"Lament 1945" と言ったサブタイトルが付けられている。 イントロは OPETH や(Eternity 時代の)ANATHEMA、初期 THEATRE OF TRAGEDY を思い起こさせる。 全体のアレンジや最後の強烈なオーケストラ楽器によるカオスの演出は、SAVIOUR MACHINE のようでもある。 また、この曲は中国歌劇や日本古来の伝統音楽からの要素もふんだんに盛り込まれている。 更にその退廃的な雰囲気は Roger Waters 的でもあろう。 陰鬱な囁きに乗るオルゴールの響き、Keith Emerson 風のシンセ・ソロ、女性ヴォーカル、悲しくメランコリックなピアノ、波のざわめき、最後まで鳴り止まないオルゴール... そこにはメタル色は全くない! そのことは You のキャリアが "Kamikaze Blows" のようなエクストリーム・メタルから始まったものの、今や彼は "War Phantasma" のような曲を作るに至っていることを私に考えさせるのである。(私はこのアルバムについての情報は持っていないのだが...)

さて、私はとんでもなく長いレビューを書いてしまったことに気づいてしまったが、このアルバムは2、3の言葉で表現されるものではない。 私は日本のアーティスト達の頭の中にあるものは分からないが、GESTALT やこの KADENZZA を聴くと、彼らの文化がいつも知的で革新的であることに気づくのだ。

こう提案しよう。 まず、このアルバムは早急に聴かなければならないものだ。 そして何度も聴くべきである。(多分、最初のうちはその内容を理解できないものかも知れないから...) 例えば、OPETH のアルバム "Deliverance" あたりが好きな人やエクストリーム・メタル好きの人にとっては、このアルバムは全く問題ないだろう。(私にとっては、この "Into The Oriental Phantasma" は "Deliverance" よりも良いと感じるから...) そしてプログレッシヴ・ロック好きの人にとっては、まず "War Phantasma" を初めに聴いて、残りを後に聴いたほうが良いかも知れない。 そうすれば、後できっとたくさんのクリエイティヴな音楽を発見することができるだろう。
最後になるが、このアルバムは「疑いなく」今年のベストアルバムのひとつとなるものだ。 ただ申し訳ないが、私はこのアーティストについての情報をほとんど持っていないのだ。 しかし約束しよう。 できるだけ早くこのアーティストとのインタビューを実現することを! - reviewed by Alfonso Algora -

( 原文 英語、ProgVisions.net より抜粋 )



Obskure.com, webzine in France

"Into The Oriental Phantasma" は、1つの試みである。非常に内容の濃いアルバムになっている。

最初に聴いた時は、誘惑されるというよりは衝撃的なものであった。 しかし、それは1度聴くと心の奥に 「これはいったい何であろうか?」 という疑問を残してくれる。 それによって、我々はこのアルバムを何度も何度も聴こうとさせられる。 そして無意識のうちに我々は、その聴こうとする気持ちを掻き立てられるのである。

1粒の真珠が正面の背後に隠されている。 You Oshima の苛まれた精神から発する "Into..." に描かれた退廃的で非常に暗いビジョンによって、私たちにはブラックメタルが進化し、数知れぬ影響を受け、結合することが出来るという事を思い起こさせる。 そのような事が出来るのは、他のスタイルには見られない事であろう。 その基礎となる攻撃性は確実に存在するが、それは音楽的には支えに過ぎず、本当に必要不可欠なもの以外は介入せず、決して過激一辺倒なものとはなっていない。 その結果、豪華なアレンジがどんどん拡大されていく。("Endless Labyrinth" のアヴァンギャルドのブレイクがその証拠である。)

さらに、FAITH NO MORE(カフェインの効いた "Mononoke")の影響によって、予告もなくぶつかり合う偏在する交響楽的な構造はますます拡大される。 名人芸のネオ・クラシカルなソロ、或いはキーボードは King Crimson に値する。 Oshima氏は何も拒絶する事なく、あらゆる種類のメタル音楽、そして一般的な音楽の明らかに深められた認識を、この Kadenzza に自由に語らせているのである。
エキゾチックな感情を全く目指していない "Into..." は、精神の中で非常にヨーロッパ的に響く。
日本化された繊細な透かし模様が雰囲気を入念に創り上げているが、それが全面に押し出されている事はなく、最良で、かつ力強い音楽制作によって、全ての細部がそれぞれの価値を持っているのである。

理解するのが難しいこの Kadenzza のアルバムは、苛まれたその精神を脅かす作品である事が長期にわたって明らかにされよう。 何よりもこの作品は突出したものであり、非常に心を掴むものである。 へヴィメタルの伝統的な音楽性と未来主義との間、そして東洋と西洋との間の大きな隔たりを示している。 我々はそれらをこのアルバムに見出すべきである!

( 原文 フランス語、Obskure.com より抜粋 )



BURRN! Feb. 2004, The World's Heaviest Heavy Metal Magazine

福島県いわき市のマルチ・プレイヤーによる1人プロジェクトが、仏「Holy」を通じて放つデビュー盤。(これ以前にも自主制作盤をリリースしている模様)
前半はブラック・メタルをベースにネオクラもしくはメロスピ調の判りやすい旋律を載せた比較的ストレートな楽曲、後半はぐんとスケールがあがって、グロテスクでアンホーリーな雰囲気をキープしたままに、非常に手の込んだプログレッシヴなシンフォニーをたっぷり聴かせる。 前半と後半がそっぽを向き合わず、1つの作品としてきっちり纏められているのがお見事。 リズム・セクションは打ち込み臭が抜けないが、逆に無慈悲な味付けと採れなくもなし。 オリエンタル風味にもクサみがなく、世界レヴェルの高質作だ。 (小澤) Scored:82/100

( BURRN! 2004年2月号 輸入盤アルバム・レビューより抜粋 )